modoru
zabuton
ぼくは長い間、次の矛盾に困惑させられてきた。「人は自立しなければ生きる価値がない」(自由の価値)。「人はたんに生きているだけでよい」(生命の価値)。前者は正しい。後者も正しい。しかし両者は矛盾する。(中略)この矛盾と葛藤は自分の中で永久に消えはしない。ぼくらは自己否定と自己肯定の間で無限に引き裂かれて構わないらしい。(中略)ぼくは自分が悪循環の渦中にあることをまずは認める。そこからまっすぐに世の中を見つめ返す。他人と出会っていく。それはときに衝突を、激しい葛藤と論争を生むだろう。
柳澤 望